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短編小説

養気霊芝 ― 千年を超えて受け継がれた「命を養う茸」(3/4)

第三章

「死なない老人」と呼ばれた医師

明治初期。

長野の山間部に、一人の漢方医がいた。

六十を超えても毎日山道を往診し、雪道を十里歩いても疲れを見せない。

村人は陰でこう呼んだ。

「死なない老人」

その医師は毎朝、黒い土瓶で霊芝を煎じていた。

弟子が尋ねた。

「先生、それほど効くものなのですか」

老人は笑った。

「効く、ではない」

「身体を壊れにくくするのだ」

その言葉は、現代の“未病”という考え方に近い。

実際、『神農本草経』で霊芝は「上薬」とされ、日々の健康維持を目的に長く用いられる素材として扱われていた。

老人は九十二歳まで生きた。

最後まで自分の足で歩いたという。

当時の平均寿命を考えれば、異例中の異例だった。


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