『日本の食材の知られざる旅路』(9/12) | トーチ

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短編小説

『日本の食材の知られざる旅路』(9/12)

第9回:食材は“自然”か、それとも“文化”か

食材とは何か。
この問いは、単純なようでいて、実は非常に奥深い。
私たちはしばしば、食材を「自然の恵み」と表現する。
しかし科学的・歴史的に見れば、食材は自然と文化の境界線に存在する存在だ。
自然が素材をつくり、
人間が技術と知恵で形を整え、
時間が味を深める。
食材とは、
自然 × 人間 × 時間
が重なり合って生まれる“複合的な存在”である。

自然の産物としての食材

まず、食材は確かに自然の産物だ。
その味や香り、栄養は、自然環境の影響を強く受ける。

  1. 地形と気候が“初期条件”を決める
  • 山のミネラル
  • 海流の栄養塩
  • 川の水質
  • 四季の温度変化
    これらは、食材の“基礎的な性質”を決定する。
    科学的に言えば、
    自然環境は食材の「物理的・化学的プロファイル」を規定する要因だ。

 2. 微生物が“味の深み”をつくる
  発酵食品に限らず、
  野菜や果物の香り成分にも微生物が関与している。
  微生物は、

    • 有機物を分解し
    • 栄養を循環させ
    • 香り成分を生成し
    • 発酵を進める
      自然の生態系がなければ、食材は成立しない。

    文化の産物としての食材

    しかし、食材は自然だけでは完成しない。
    人間の技術と文化が介入することで、初めて“食材としての姿”になる。

    1. 人間の技術が“味の方向性”を決める
      同じ自然環境でも、
    • 品種選択
    • 栽培方法
    • 収穫タイミング
    • 加工技術
    • 発酵の管理
      によって味は大きく変わる。
      これは、
      食材の味は“人間の意思決定”の影響を強く受ける
      ということだ。

     2. 文化が“食材の意味”をつくる
      味噌、醤油、漬物、日本酒。
      これらは自然の産物であると同時に、
      文化が生み出した“意味のある食材”でもある。
      文化が食材に

      • 価値
      • 役割
      • 物語
        を与える。
        食材は、文化によって“意味づけ”される存在だ。

      自然と文化は対立しない。むしろ連続している

      自然と文化は、しばしば対立する概念として語られる。
      しかし食材の世界では、この二つは連続している。

      1. 自然が文化をつくり、文化が自然を読み解く
        自然環境が技術を生み、
        技術が自然の理解を深め、
        その理解が新しい文化をつくる。
        これは、
        自然と文化の“相互進化”と言える。
      2. 食材はその“交差点”に存在する
        食材は、
      • 自然の物理法則
      • 微生物の生態系
      • 人間の技術
      • 文化の歴史
        が交差する場所に生まれる。
        だからこそ、食材には深みがある。

      食材の本質は、“自然と文化の境界線”にある

      食材を自然の産物としてだけ捉えると、
      その背後にある人間の技術や文化が見えなくなる。
      逆に、文化の産物としてだけ捉えると、
      自然環境の影響が見えなくなる。
      食材の本質は、
      自然と文化の“あいだ”にある。
      この視点を持つことで、
      食材の旅路はより立体的に見えてくる。


      次回予告:便利さと本質 ― 私たちは何を失い、何を得たのか

      次回は、現代の食生活における“便利さ”と“本質”の関係を扱う。
      加工食品、保存技術、効率化された流通。
      これらが私たちの食材との距離をどう変えたのか。
      便利さは悪ではない。
      しかし、便利さの裏で何が失われ、何が残ったのか。
      食材の旅路を現代の視点から問い直す回になる。

      この記事の著者

      KANU

      健康食品および美容商品を販売するECショップ『トーチ(Touchi)』の運営をしております。
      旅行会社で培ったネットワークを活かして全国各地のご当地素材を使ったの商品を販売しています。北は北海道から南は沖縄まで全国各地飛び回っております。
      『トーチ』について自己紹介を兼ねて説明させてさせていただきます。
      2人目の子供を大学進学させ一段落した折、人生の転機に向けた脱サラ修業を始めました。メルカリのリユース品販売では古物商取引と顧客対応を経験し、アマゾンの美容商品販売では知的財産権について経験しました。
      そして、2025年8月に自社ECサイト『トーチ』を設立するに至ったのです。
      私は、今年で13年目になる「クリエイティブ・ツアーズ株式会社」の役員も務めておりますので、そのネットワークを活かし、ご当地素材に火をともすような商品販売をしていきたいと考えております。

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