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エッセイ 小説

連載【甘さを足さない理由――果物本来の味を探す旅】 第1話

第1話 「甘い=砂糖」だと思っていた

「このドライフルーツ、甘いですね」

そう言いながら、彼女は商品の袋を裏返した。

原材料名を見る。

そこには、果物の名前だけが書かれていた。

「……あれ?」

もう一度、表示を見る。

砂糖がない。

シロップもない。

甘味料の名前もない。

「でも、こんなに甘いのに?」

彼女は少し不思議そうな顔をした。


私たちは、いつの間にか、

「甘いものには、砂糖が入っている」

と思うようになっています。

お菓子なら、もちろん砂糖が使われることがあります。

飲み物にも、砂糖や果糖ぶどう糖液糖などが使われることがあります。

ジャムやシロップ漬けの果物もあります。

だから、

「甘い=何か甘いものを加えている」

と考えるのは、決して不思議なことではありません。

けれど、果物そのものを考えてみると、少し話が変わってきます。


たとえば、旬のブドウを一粒食べたとします。

噛んだ瞬間、

「甘い」

と感じます。

もちろん、そのブドウに砂糖をまぶしたわけではありません。

果物には、もともと糖類が含まれているからです。

つまり、

果物は、もともと甘い食べ物なのです。

これは当たり前のようですが、加工食品を食べる機会が多い現代では、意外と忘れられていることかもしれません。


では、なぜドライフルーツになると、

「生の果物より甘く感じる」

のでしょうか。

ここが、今回の話の入口です。

果物を乾燥させると、水分が減ります。

果物の中にあった水分が抜けていく。

一方で、果物そのものに含まれていた糖類が、乾燥によって新しく加えられるわけではありません。

つまり、

「砂糖を足したから甘くなった」

とは限らないのです。

水分が減ることで、果物が持っていた味わいを、より濃く感じることがあります。

もちろん、果物の種類や熟度、乾燥方法によって味わいは変わります。

それでも、

「甘いから砂糖が入っている」

とは限らない。

このことを知るだけでも、食品を見る目は少し変わってきます。


彼女は、もう一度袋を見た。

「じゃあ、この甘さは……」

「果物自身の甘さ、ということもあるんですね」

そう。

だからこそ、トーチでは、

「甘さを足す」前に、「果物そのものの甘さを味わう」

という考え方を大切にしています。

何かを加えることが、必ず悪いわけではありません。

加工食品には、それぞれの目的があります。

保存性を高めたり、味を調整したり、商品としての品質を安定させたり。

砂糖にも、食品加工における役割があります。

大切なのは、

「何が入っているかを知ったうえで、自分で選ぶこと」

ではないでしょうか。


食品を選ぶとき、

「無添加だから良い」

「砂糖が入っていないから良い」

と、言葉だけで判断する必要はありません。

むしろ、

「なぜ、この原料だけで甘く感じるのだろう?」

と考えてみる。

そこから、果物のことが見えてくる。

乾燥のことが見えてくる。

そして、食品加工のことも見えてくる。

トーチが伝えたいのは、

「砂糖を使っていないから買ってください」

ということではありません。

一つの商品をきっかけに、食べ物そのものを知ってほしい。

そんな思いがあります。


そして彼女は、ふと思った。

「でも……」

「果物って、もともと甘いのに、どうして乾燥するともっと甘く感じるんだろう?」

その疑問の答えは、

「水分」にあります。

次回は、

「果物には、もともと甘さがある」

という当たり前のようで、意外と知られていない話から、果物の甘さをもう少し深く見ていきます。


🍇 トーチの視点

甘さを足す前に、果物が持っている甘さを知る。

それが、素材を味わう第一歩。

「砂糖不使用」という言葉だけを見るのではなく、

「この甘さは、どこから来ているのだろう?」

と考えてみる。

トーチは、そんな食品の見方を大切にしています。

次回予告

第2話「果物には、もともと甘さがある」

甘さは、砂糖だけから生まれるものではありません。

では、果物の甘さとは、一体何なのでしょうか。


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