連載【甘さを足さない理由――果物本来の味を探す旅】 第6話
第6話 「自然派食品」って、何だろう?
「自然派食品って、結局なんなんだろう?」
彼女は、スーパーの食品売り場で立ち止まっていた。
前回、食品添加物について考えてみた。
添加物には、それぞれ使われる理由がある。
だから、
「添加物が入っている=悪い食品」
と決めつけるのは違う。
では、
「無添加なら自然派なの?」
彼女は、そんな疑問を持った。
食品売り場を見渡す。
「無添加」
「砂糖不使用」
「国産」
「オーガニック」
「天然」
いろいろな言葉が並んでいる。
どれも、
「身体や食生活に良さそう」
という印象を与える言葉だ。
でも、少し考えてみると、
「自然派」という言葉だけでは、何を大切にしているのか分からない。
無添加を大切にする商品もある。
原料の産地を大切にする商品もある。
栽培方法を大切にする商品もある。
素材本来の味を大切にする商品もある。
つまり、
自然派と呼ばれる食品にも、いろいろな考え方がある。
彼女は、ふと以前の話を思い出した。
砂糖のこと。
砂糖には、食品加工上の役割がある。
だから、
「砂糖が入っているからダメ」
とは言えない。
添加物も同じだった。
それぞれに役割がある。
だから、
「添加物が入っているからダメ」
とも言えない。
そう考えると、
「自然派だから良い」
という考え方も、少し単純すぎるのかもしれない。
では、何を基準に食品を選べばいいのだろう。
彼女は、商品の袋を一つずつ見ていった。
原材料。
産地。
加工方法。
味。
価格。
保存方法。
いろいろな情報がある。
その中から、
「自分は何を大切にしたいのか」
を考えてみる。
それが、食品を選ぶための自分なりの基準になる。
たとえば、
できるだけ素材そのものの味を楽しみたい。
そう思う人なら、
「余計な味を加えていないか」
を見るかもしれない。
産地を大切にしたい人なら、
「どこで育った果物なのか」
を見るかもしれない。
生産者の考え方を知りたい人なら、
「誰が、どんな思いでつくっているのか」
を見るかもしれない。
価格を大切にする人もいる。
手軽さを大切にする人もいる。
保存性を重視する人もいる。
どれが間違いという話ではない。
「じゃあ、トーチにとっての自然派って?」
彼女は、ドライフルーツを手に取った。
そこには、
果物の名前がある。
産地がある。
そして、原材料表示がある。
トーチが大切にしているのは、
「自然派という言葉を売ること」ではない。
その言葉の中身を、自分たちなりに考えることだった。
トーチがドライフルーツで大切にしているのは、
果物そのものの魅力を、できるだけ素直に味わってもらうこと。
だから、
砂糖を加えない。
必要のないものを加えない。
素材が持っている甘さや香りを大切にする。
それは、
「添加物はすべて悪い」
という考え方ではない。
「砂糖は使ってはいけない」
という考え方でもない。
この果物には、本当に何かを足す必要があるのだろうか。
そう考えた結果、
「足さない」
という選択をしている。
彼女は、ドライフルーツを一粒食べてみた。
甘い。
でも、前とは少し違って感じる。
「自然派だから甘いんじゃないんだ」
「果物そのものの甘さがあるから、甘いんだ」
そして、
「その味を邪魔しないように、足すものを選んでいるんだ」
そう考えると、
「砂糖不使用」
という言葉の見え方も変わってきた。
単なる商品の特徴ではない。
「この商品は、何を大切にしてつくられているのか」
を知るための、一つの手がかりなのだ。
食品を選ぶとき、
「自然派だから買う」
ではなく、
「この商品は、何を大切にしているのだろう?」
と考えてみる。
原材料を見る。
産地を見る。
つくり方を見る。
そして、
「なぜ、この材料を使ったのか」
「なぜ、これは使わなかったのか」
を考えてみる。
そうすると、食品の選び方が少し変わってくる。
言葉だけに頼らず、
商品の背景を見る。
それが、トーチの考える「自然派」の入り口だ。
彼女は、以前よりも食品表示をじっくり見るようになった。
「自然派って、特別な食品のことじゃないのかもしれない」
そう思った。
自然派とは、
何か特別な名前のついた食品を選ぶことではなく、
自分が大切にしたいものを知って、それに合う食品を選ぶこと。
素材を大切にしたい。
産地を大切にしたい。
余計なものを加えないことを大切にしたい。
そんな一つひとつの考え方が、
毎日の食品選びにつながっていく。
トーチが届けたいのも、
「自然派食品だから、これを選んでください」
ということではない。
むしろ、
「あなたは、食べものの何を大切にしますか?」
という問いを持ってもらいたい。
そのうえで、
「素材の味を大切にしたい」
と思う人に、
トーチの商品が選択肢の一つになればいい。
売るために言葉をつくるのではなく、
商品そのものの考え方を知ってもらう。
それが、トーチが目指している商品紹介なのだ。
そして彼女は、ふと思った。
「でも……」
「素材を大切にするって、具体的にはどういうことなんだろう?」
ただ、
「何も加えない」
だけではない。
原料そのものが良くなければ、
足さないことだけでは魅力的な食品にはならない。
では、
「素材を生かす」とは、具体的にどういうことなのか?
次回は、
「何を入れるか」より「何を入れないか」
という考え方を、もう一度深く掘り下げていく。
🍇 トーチの視点
「自然派」という言葉だけで、食品の良し悪しを決める必要はありません。
大切なのは、
その食品が、何を大切にしてつくられているのか。
原材料。
産地。
加工方法。
生産者の考え方。
そして、自分自身が大切にしたいこと。
それらを知ったうえで選ぶ。
トーチが考える自然派とは、
「自然派という言葉を売ること」ではなく、「素材を大切にする選択をすること」
です。
だからこそ、トーチでは、
「何を加えたか」だけでなく、「何を加えなかったのか」
にも目を向けています。
次回予告
第7話「『何を入れるか』より『何を入れないか』」
食品は、材料を足すことで味や品質をつくることができます。
でも、ときには、
「足さないこと」そのものが、素材を生かす方法になる。
次回は、トーチが「足さない」という選択をする理由を、さらに掘り下げます。

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