『日本の食材の知られざる旅路』(7/12) | トーチ

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『日本の食材の知られざる旅路』(7/12)

第7回:後継者不足と地域食材の未来

食材の旅路は、自然環境だけでなく、人間社会の変化にも大きく影響を受ける。
その中でも、近年最も深刻な影響を与えているのが後継者不足だ。
この問題は単なる「人手不足」ではない。
科学的に見れば、地域の生態系・技術体系・文化体系が連続性を失う現象であり、食材の未来に直接関わる。

後継者不足は“技術の断絶”を引き起こす

農業・漁業・発酵文化は、自然環境と人間の技術が長い時間をかけて共進化してきた。
しかし後継者がいなくなると、この共進化のプロセスが途切れてしまう。

  1. 技術は“データ”ではなく“身体知”で伝わる
    農家や漁師の技術は、
  • 土の匂い
  • 水の色
  • 風の変化
  • 発酵の音
    といった、数値化できない情報によって支えられている。
    これらは、科学的には暗黙知(タシットナレッジ)と呼ばれる。
    暗黙知は、
    マニュアル化もAI化も難しい。
    だからこそ、後継者がいないと技術が“消える”。

 2. 技術の断絶は、食材の品質変動を生む
  技術が途切れると、

    • 味の再現性が下がる
    • 品質のばらつきが増える
    • 地域固有の味が失われる
      食材の旅路は、技術の連続性によって支えられてきた。
      その連続性が揺らいでいる。

    人口減少は“生態系の管理者”を減らす

    里山や農地は、人間が管理することで維持されてきた“半自然生態系”だ。
    人口が減ると、この生態系の維持が難しくなる。

    1. 放置された里山は、生態系が単調化する
      草刈りや間伐が行われないと、
    • 光環境が変わり
    • 植物の多様性が減り
    • 微生物の多様性も低下する
      生態系が単調化すると、
      食材の香りや旨味に影響が出る。

     2. 農地の減少は“味の地図”を縮小させる
      農地が減ると、

      • 土壌微生物の生態系が失われ
      • 地域固有の味が消え
      • 発酵文化の基盤も弱くなる
        食材の旅路は、土地と人間の関係性によって成立している。
        その関係性が薄れている。

      地域経済の変化は、食材の“価値の定義”を変える

      後継者不足の背景には、経済構造の変化もある。

      1. 効率性の基準が変わった
        大量生産・大量流通の時代には、
      • 収量
      • 労働効率
      • コスト
        が重視された。
        しかし地域食材は、
        効率性では測れない価値を持っている。
      • 土地固有の微生物
      • 代々受け継がれた技術
      • 気候と地形の履歴
      • 文化的背景
        これらは、経済指標では評価しきれない。

       2. “価値の再定義”が始まっている
        近年、

        • 地域食材
        • 小規模生産
        • 伝統技術
        • 発酵文化
          が再評価されている。
          これは、食材の価値が
          「効率」から「物語と環境」へ
          シフトしている兆候だ。

        後継者不足は危機ではなく、“転換点”である

        後継者不足は確かに大きな課題だ。
        しかし同時に、食材の価値を再定義するチャンスでもある。

        • 技術の可視化
        • 生産者のストーリーの発信
        • 地域食材のブランド化
        • 小規模生産の価値の再評価
          これらは、食材の旅路を未来につなぐための新しいアプローチだ。
          食材の旅路は、
          自然環境と人間社会の変化の中で、
          形を変えながら続いていく。


        次回予告:伝統と革新 ― 古い技術が未来を救うことがある

        次回は、後継者不足の中でも残り続けている“伝統技術”に焦点を当てる。
        科学的に見ても合理的な古い技術、
        現代の技術では代替できない知恵、
        そしてそれらが未来の食材をどう支えるのか。
        伝統は過去の遺物ではない。
        未来をつくるための“技術の種”でもある。

        この記事の著者

        KANU

        健康食品および美容商品を販売するECショップ『トーチ(Touchi)』の運営をしております。
        旅行会社で培ったネットワークを活かして全国各地のご当地素材を使ったの商品を販売しています。北は北海道から南は沖縄まで全国各地飛び回っております。
        『トーチ』について自己紹介を兼ねて説明させてさせていただきます。
        2人目の子供を大学進学させ一段落した折、人生の転機に向けた脱サラ修業を始めました。メルカリのリユース品販売では古物商取引と顧客対応を経験し、アマゾンの美容商品販売では知的財産権について経験しました。
        そして、2025年8月に自社ECサイト『トーチ』を設立するに至ったのです。
        私は、今年で13年目になる「クリエイティブ・ツアーズ株式会社」の役員も務めておりますので、そのネットワークを活かし、ご当地素材に火をともすような商品販売をしていきたいと考えております。

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